【0から学ぶAI】第277回:画像のヒストグラム

目次

前回のおさらいと今回のテーマ

こんにちは!前回は、エッジ検出について解説し、Sobel法やCanny法によるエッジ検出の手法を紹介しました。

今回は、画像処理の重要な手法の一つである画像のヒストグラムについて説明します。ヒストグラムは、画像の明るさや色の分布を視覚的に表現するための手法であり、画像の特性を把握するために役立ちます。この記事では、ヒストグラムの基本概念と、その作成・活用方法を解説します。

画像のヒストグラムとは?

1. ヒストグラムの定義

ヒストグラムは、データの分布を棒グラフの形で表現したもので、画像処理においてはピクセルの明るさ(輝度)や色の分布を示します。具体的には、各ピクセルの輝度値(0~255)や色の成分の出現頻度を横軸に並べ、それぞれの頻度を縦軸に表示したグラフです。

2. ヒストグラムの目的

ヒストグラムは、画像のコントラストや明るさ、色の偏りなどの特性を把握するために使われます。これにより、以下のような画像処理タスクを行うことが可能です。

  • コントラスト調整:画像の明暗を調整して見やすくする。
  • しきい値処理(画像の二値化):特定の輝度範囲を抽出する。
  • 画像の補正:過度に明るい、または暗い画像を調整して均一化する。

グレースケール画像のヒストグラム

1. グレースケール画像とは?

グレースケール画像は、各ピクセルが0~255の範囲の輝度値を持つ画像です。0は黒、255は白を表し、その間の値はさまざまな灰色の濃淡を表します。

2. ヒストグラムの作成

グレースケール画像のヒストグラムは、各輝度値の出現頻度をカウントして作成します。横軸は輝度値(0~255)、縦軸はその輝度値を持つピクセルの数を示します。

OpenCVを使ったヒストグラムの表示

以下は、OpenCVを用いてグレースケール画像のヒストグラムを作成し、Matplotlibを使って表示する例です。

import cv2
import matplotlib.pyplot as plt

# 画像の読み込み(グレースケール)
image = cv2.imread('example.jpg', cv2.IMREAD_GRAYSCALE)

# ヒストグラムの計算
hist = cv2.calcHist([image], [0], None, [256], [0, 256])

# ヒストグラムの表示
plt.plot(hist)
plt.title('Grayscale Histogram')
plt.xlabel('Pixel Value')
plt.ylabel('Frequency')
plt.show()

このコードでは、cv2.calcHist()関数を使用して、グレースケール画像のヒストグラムを計算し、Matplotlibで可視化しています。

3. グレースケールヒストグラムの解釈

ヒストグラムを解釈することで、画像の特性を理解できます。

  • 左寄り(0に近い):暗いピクセルが多い画像を示します。
  • 右寄り(255に近い):明るいピクセルが多い画像を示します。
  • 均一な分布:全体的にコントラストが高く、明るさが広範囲に分布している画像を示します。

カラー画像のヒストグラム

1. カラー画像のヒストグラムの作成

カラー画像の場合、通常はRGB各チャンネルごとにヒストグラムを作成します。それぞれの色成分(赤、緑、青)の分布を別々に表示することで、画像の色のバランスを視覚的に把握できます。

OpenCVでのカラー画像ヒストグラムの表示

以下は、RGB各チャンネルのヒストグラムを表示する例です。

# 画像の読み込み(カラー)
image = cv2.imread('example.jpg')

# 各チャンネルの色を指定
colors = ('b', 'g', 'r')
for i, color in enumerate(colors):
    # ヒストグラムの計算
    hist = cv2.calcHist([image], [i], None, [256], [0, 256])
    # ヒストグラムの表示
    plt.plot(hist, color=color)

plt.title('Color Histogram')
plt.xlabel('Pixel Value')
plt.ylabel('Frequency')
plt.show()

このコードでは、RGB各チャンネルに対してヒストグラムを計算し、それぞれの色(青、緑、赤)でプロットしています。

2. カラーヒストグラムの解釈

カラーヒストグラムを使うと、画像の色の傾向や偏りを把握できます。

  • 一部の色が多く含まれる場合:特定の色のヒストグラムが突出していることがあります。
  • 全体的に均一な分布:色がまんべんなく含まれている画像を示します。
  • 特定の色に偏りがある場合:ヒストグラムが片寄って表示されます。

ヒストグラム平坦化

1. ヒストグラム平坦化とは?

ヒストグラム平坦化は、画像のコントラストを改善するための手法です。ヒストグラムを均一化することで、画像全体の明暗がよりバランス良く分布するように調整されます。これにより、暗い画像や明るすぎる画像でも、詳細が見やすくなります。

2. ヒストグラム平坦化の実装

OpenCVでは、cv2.equalizeHist()を使用してヒストグラム平坦化を行います。以下はその例です。

# ヒストグラム平坦化
equalized_image = cv2.equalizeHist(image)

# 結果の表示
cv2.imshow('Original Image', image)
cv2.imshow('Equalized Image', equalized_image)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()

このコードでは、グレースケール画像のヒストグラム平坦化を実行し、平坦化前後の画像を表示しています。

3. ヒストグラム平坦化の効果

  • コントラストが向上する:明暗差が少ない画像でも、ディテールが強調される。
  • 均一な分布に近づく:輝度の範囲全体にわたってピクセルが分布する。

ただし、ヒストグラム平坦化が必ずしも全ての画像に対して有効とは限らず、適用の効果を見ながら使用することが重要です。

ヒストグラムを利用した画像処理の応用

1. コントラストの調整

ヒストグラムの形状を観察し、特定の範囲を強調することで、画像のコントラストを調整できます。コントラストを向上させると、画像の詳細がより明確に見えるようになります。

2. しきい値処理(画像の二値化)

ヒストグラムを参考に、しきい値を設定して画像を白黒に変換する手法です。特定の輝度値を境界として、明るい部分を白、暗い部分を黒に変換します。

3. 色調補正

カラーヒストグラムを使って、特定の色が強すぎる場合や弱すぎる場合に、色の調整を行うことができます。これにより、画像全体の色のバランスを整えることが可能です。

まとめ

今回は、画像のヒストグラムについて解説しました。ヒストグラムは、画像の輝度や色の分布を視覚化するための重要なツールであり、画像処理の基本となります。ヒストグラムを活用することで、コントラスト調

整や画像の補正が可能になり、より効果的な画像解析が実現できます。

次回予告

次回は、画像の二値化について解説します。画像を白黒に変換する手法とその応用について学びましょう。


注釈

  1. ヒストグラム:データの分布を棒グラフで示したもので、画像処理ではピクセルの輝度や色の分布を表す。
  2. ヒストグラム平坦化:ヒストグラムの形状を均一化し、画像のコントラストを向上させる手法。
  3. しきい値処理:特定の値を基準にして、データを二つのグループに分ける処理。
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