【0から学ぶAI】第22回:異常値の検出と処理

目次

前回のおさらいと今回のテーマ

こんにちは!前回は、データの欠損部分をどのように処理するかについて学びました。欠損値は、データセットにおいて避けられないものですが、それに適切に対処することで、モデルの精度を向上させることができます。今回は、データセットに含まれる異常値の検出とその処理方法について解説します。

異常値は、データの中で他の値と大きく異なる値のことを指します。これらの値は、データ収集のエラーや、異常な状況下での測定結果などから生じることがあります。異常値を適切に処理することで、モデルの予測精度や安定性を保つことができます。

異常値とは?

異常値の定義

異常値とは、データセット内の他のデータと比較して、著しく異なる値を指します。異常値は、データの分布を歪め、モデルが正確に学習するのを妨げる可能性があります。たとえば、年収データを扱っているときに「1億円」という値が他の値と比べて極端に高い場合、これが異常値である可能性があります。

異常値は、誤ったデータ入力、測定ミス、または実際の異常事象を反映している場合があり、これを無視することはできません。

異常値が発生する原因

異常値が発生する原因はいくつか考えられます。

  • データ収集のミス: センサーの誤動作や計測機器の故障により、正確でないデータが収集されることがあります。
  • データ入力エラー: 人的ミスにより、異常な値が手動で入力されることがあります。
  • 異常な状況下での測定: 特異な状況下でデータが収集された場合、通常の範囲を超える値が記録されることがあります。

異常値が存在すると、データセットの信頼性が損なわれるため、これを適切に検出し、処理することが重要です。

異常値の検出方法

異常値を検出するためには、いくつかの方法があります。以下に代表的なものを紹介します。

統計的手法による検出

統計的手法を用いることで、異常値を検出することができます。これには、標準偏差四分位範囲(IQR)を利用する方法が含まれます。

  • 標準偏差を用いた方法: データが平均から何標準偏差離れているかを計算し、ある一定の範囲(通常は±3標準偏差)を超える値を異常値と見なします。例えば、標準偏差が2のデータセットで、ある値が平均から6以上離れている場合、それは異常値とみなされます。
  • 四分位範囲(IQR)を用いた方法: データを四分位数で分割し、IQR(第1四分位数と第3四分位数の差)を計算します。通常、このIQRの1.5倍を超える範囲にある値を異常値と見なします。例えば、IQRが10の場合、IQRの1.5倍である15を基に、第1四分位数から15以上、第3四分位数から15以上離れた値が異常値と見なされます。

視覚的手法による検出

異常値は視覚的な手法でも検出できます。データを可視化することで、異常値が一目でわかる場合があります。代表的な視覚的手法には、箱ひげ図散布図があります。

  • 箱ひげ図: データの分布を視覚的に表現する手法で、異常値は「ひげ」の範囲を超えて点としてプロットされます。これにより、データの全体的な傾向と異常な値を同時に確認することができます。
  • 散布図: 異常値が二次元的に分布している場合、散布図を用いることで、他のデータポイントから大きく外れた点を簡単に特定できます。これは、異常な関係やパターンを検出するのに有効です。

機械学習を用いた異常値検出

より高度な異常値検出には、機械学習を用いる方法もあります。これには、クラスタリング手法孤立森林(Isolation Forest)などが含まれます。

  • クラスタリング手法: データをグループ化し、グループから大きく外れた値を異常値と見なします。例えば、k-meansクラスタリングを使用してデータをクラスターに分け、それぞれのクラスターから大きく外れたデータポイントを異常値として検出します。
  • 孤立森林(Isolation Forest): 異常値検出に特化した機械学習モデルで、多数のランダムな「決定木」を作成し、異常値が他のデータポイントと異なる特性を持つことを利用して検出します。

異常値の処理方法

異常値を検出したら、それをどのように処理するかが次のステップです。異常値の処理方法には、以下のような手法があります。

異常値の削除

最も簡単な処理方法は、異常値を削除することです。データセットにおいて、異常値が少数であり、これを削除してもデータの代表性に大きな影響を与えない場合、この方法が適しています。

ただし、異常値の削除には注意が必要です。異常値が多い場合や、異常値がデータの重要な特性を反映している場合は、削除が適切でないこともあります。この場合、他の処理方法を検討する必要があります。

異常値の置換

異常値を削除せずに、他の値で置換する方法もあります。これには、中央値平均値で置き換える方法が一般的です。

例えば、異常に高い年収データが検出された場合、その年収を中央値で置き換えることで、データセット全体のバランスを保ちながら、異常値の影響を軽減することができます。

ロバスト統計手法の使用

ロバスト統計手法は、異常値に対して頑健なモデルを構築するための手法です。これにより、異常値が存在してもモデルの学習に大きな影響を与えず、正確な予測が可能になります。

例えば、線形回帰ではなく、ロバスト回帰を使用することで、異常値の影響を受けにくいモデルを構築することができます。このような手法を用いることで、異常値の処理を行わなくてもモデルの精度を維持することができます。

異常値処理の重要性

異常値の処理は、モデルの精度を向上させ、信頼性を保つために不可欠です。異常値を適切に処理しないと、モデルが誤った結論を導き出す可能性があり、特にビジネスや医療の現場では深刻な結果を招くことがあります。異常値の検出と処理をしっかりと行うことで、モデルのパフォーマンスを最適化し、信頼性を高めることができます。

次回

今回は、データセットにおける異常な値をどのように検出し、処理するかを学びました。異常値を適切に処理することで、モデルの精度を保ち、信頼性の高い結果を得ることができます。次回は、データのスケールを揃える方法であるデータの標準化と正規化について解説します。引き続き、一緒に学ん

でいきましょう!

まとめ

今回は、データセットに含まれる異常値の検出と処理について詳しく解説しました。a異常値を適切に検出し、適切な処理を行うことで、モデルの予測精度を向上させることができます。次回は、データの標準化と正規化について詳しく見ていきますので、お楽しみに!


注釈

  • 異常値: データセット内で他のデータと大きく異なる値のこと。モデルの学習に悪影響を与えることがある。
  • 標準偏差: データが平均からどれだけ離れているかを示す指標。標準偏差が大きいほど、データのばらつきが大きいことを意味する。
  • 四分位範囲(IQR): データを四分位数で分割し、中央の50%のデータの範囲を示す指標。異常値検出に使用される。
  • 箱ひげ図: データの分布を視覚的に表現する手法。異常値は「ひげ」の範囲を超えてプロットされる。
  • 散布図: 二次元データの関係を視覚的に表現する図。異常値の検出に使用されることがある。
  • 孤立森林(Isolation Forest): 機械学習アルゴリズムの一つで、異常値検出に特化している。
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