【0から学ぶAI】第20回:データの前処理

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前回のおさらいと今回のテーマ

こんにちは!前回は、モデルの性能を評価するための手法であるクロスバリデーションについて学びました。データを複数に分割して評価することで、モデルの汎化性能を正確に測ることができましたね。今回は、AIや機械学習のモデルが正しく学習できるように、データを整える作業であるデータの前処理について詳しく解説します。

データの前処理は、AIモデルが正確に予測を行うための準備段階であり、非常に重要なステップです。データが適切に処理されていないと、どんなに優れたアルゴリズムでも期待通りの結果を得ることはできません。それでは、データの前処理がどのように行われるのか、具体的な方法を見ていきましょう。

データの前処理とは?

モデルの学習を支える重要なステップ

データの前処理とは、生のデータをモデルが学習しやすい形に整える作業のことです。現実世界で集められたデータには、欠損値や外れ値、ノイズが含まれていることが多く、そのままでは正確なモデルを構築することが難しいです。そこで、データを適切にクレンジング(清掃)し、正規化や標準化を行うことで、モデルがデータを効率的に学習できるように整えます。

例えば、アンケートの結果を集めたデータセットを考えてみましょう。人々が回答を入力する際に、空欄があったり、異常に高い値が含まれていたりすることがあります。こうしたデータをそのまま使うと、モデルの予測が不正確になったり、学習がうまくいかなかったりする可能性があります。データの前処理を行うことで、こうした問題を解消し、より信頼性の高いモデルを作ることができます。

データの前処理の主要な手法

データの前処理には、さまざまな手法があります。以下に、代表的なものをいくつか紹介します。

  • データのクリーニング: 欠損値の補完、外れ値の処理、ノイズの除去などを行います。
  • データの正規化: データの値を一定の範囲に収めることで、異なるスケールのデータを統一します。
  • データの標準化: データの平均を0、標準偏差を1にすることで、データのばらつきを抑えます。
  • カテゴリカルデータのエンコーディング: 数値で表せないカテゴリカルデータ(例:性別や色)を数値に変換します。

これらの手法を適切に使い分けることで、データをモデルが扱いやすい形に整え、学習プロセスをスムーズに進めることができます。

データクリーニングの基本

欠損値の処理

欠損値とは、データの一部が欠けている状態のことです。例えば、アンケートの回答が入力されていない場合や、センサーからのデータが一部取得できていない場合などがこれに該当します。欠損値があると、モデルの学習に悪影響を及ぼすため、適切に処理する必要があります。

欠損値の処理方法としては、以下のような手法があります。

  • 削除: 欠損値を含むデータポイントを削除する方法。欠損が少ない場合に有効です。
  • 補完: 欠損している部分を他のデータから推測して埋める方法。平均値や中央値、最頻値を使って補完することが一般的です。
  • 特殊な値で置換: 欠損値を特定の値(例:-1や999など)で置き換える方法。後で補完や削除の判断を行いやすくするために使われます。

外れ値の処理

外れ値とは、他のデータと大きく異なる値のことです。例えば、年齢を扱うデータで「150歳」といった値が含まれている場合、それは明らかに異常なデータです。このような外れ値をそのままにしておくと、モデルが誤った学習を行う可能性があるため、適切に処理する必要があります。

外れ値の処理方法としては、以下のような手法があります。

  • 削除: 外れ値を持つデータポイントを削除する方法。明らかに異常な値であれば、削除が最もシンプルな解決策です。
  • 置換: 外れ値を他の適切な値で置き換える方法。中央値や平均値などを使って置換することが一般的です。
  • 変換: 外れ値を持つデータを対数変換や平方根変換などでスケールを調整する方法。これにより、外れ値の影響を軽減できます。

データの正規化と標準化

データの正規化

正規化とは、データを一定の範囲(通常は0から1)に収める手法です。データのスケールが大きく異なる場合、正規化を行うことでモデルの学習を安定させることができます。例えば、収入と年齢を同時に扱う場合、収入が数万から数百万円の範囲で変動する一方で、年齢は数十年の範囲です。このままでは、モデルが収入の値に過度に影響される可能性があるため、両者を同じスケールに揃える必要があります。

データの標準化

標準化は、データの平均を0、標準偏差を1にする手法です。標準化を行うことで、データのばらつきを抑え、モデルが効率的に学習できるようになります。特に、正規分布に従うデータセットでは、標準化を行うことでモデルの精度が向上することが多いです。

正規化と標準化のどちらを選ぶかは、データの性質やモデルの種類によって異なりますが、どちらもデータを整えるために重要な手法です。

カテゴリカルデータのエンコーディング

ラベルエンコーディングとワンホットエンコーディング

カテゴリカルデータ(例:色、性別、職業など)は、数値データとは異なり、直接的にモデルに入力することができません。そこで、カテゴリカルデータを数値に変換する手法が必要になります。

  • ラベルエンコーディング: カテゴリごとに整数値を割り当てる手法です。例えば、色を「赤=0、青=1、緑=2」といった具合に変換します。シンプルで効率的ですが、値の順序に意味がある場合にのみ適用可能です。
  • ワンホットエンコーディング: 各カテゴリをバイナリベクトルに変換する手法です。例えば、色を「赤=[1, 0, 0]、青=[0, 1, 0]、緑=[0, 0, 1]」と表現します。この方法では、カテゴリ間の順序を考慮せずにデータを処理できます。

次回

今回は、モデルが正確に学習できるようにデータを整えるデータの前処理について学びました。データの前処理は、モデルの成功に直結する重要なステップです。次回は、データの一部が欠けている場合の処理方法、欠損値の処理について詳しく解説します。引き続き、一緒に学んでいきましょう!

まとめ

今回は、AIや機械学習におけるデータの前処理について解説しました。データの前処理は、モデルが

データを正確に学習できるようにするための重要なステップです。次回は、欠損値の処理について詳しく見ていきますので、お楽しみに!


注釈

  • 欠損値: データの一部が欠けている状態のこと。処理しないとモデルの学習に悪影響を与える。
  • 外れ値: 他のデータと大きく異なる値のこと。異常値とも呼ばれ、正確な学習の妨げになる可能性がある。
  • 正規化: データを一定の範囲に収める手法。異なるスケールのデータを統一するために用いられる。
  • 標準化: データの平均を0、標準偏差を1にする手法。データのばらつきを抑えるために用いられる。
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