【0から学ぶAI】第13回:分類と回帰

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前回のおさらいと今回のテーマ

こんにちは!前回は、教師あり学習におけるラベル(ターゲット)について詳しく学びました。ラベルは、AIモデルが学習する際の「正解データ」であり、その正確性がモデルの予測精度に直結します。今回は、AIにおける予測問題の二大カテゴリである分類と回帰について解説します。

分類回帰は、機械学習における二つの主要な予測問題のタイプです。分類はデータを異なるカテゴリに分ける手法であり、回帰は数値を予測する手法です。これらの問題は、さまざまな応用分野で利用されており、AIモデルがどのようにしてデータから有用な予測を行うのかを理解する上で重要です。それでは、分類と回帰の違いや、それぞれの活用方法について詳しく見ていきましょう。

分類とは?

カテゴリの識別

分類は、データをあらかじめ定義されたカテゴリに分ける問題です。これには、二つのカテゴリにデータを分ける二値分類と、三つ以上のカテゴリに分ける多クラス分類があります。

例えば、スパムメールフィルタリングは二値分類の一例です。メールが「スパム」か「スパムでないか」を分類します。一方、手書き数字の認識は多クラス分類の一例で、手書きされた数字が「0」から「9」のいずれであるかを識別します。

分類アルゴリズム

分類問題にはさまざまなアルゴリズムが使われますが、代表的なものをいくつか紹介します。

  • ロジスティック回帰: 名前に「回帰」とありますが、これは分類問題に使われるアルゴリズムです。特に、二値分類において広く使用され、入力データが特定のクラスに属する確率を予測します。
  • サポートベクターマシン(SVM): SVMは、データポイントを異なるクラスに分けるための最適な境界線を見つけるアルゴリズムです。データが線形分離可能でない場合でも、高次元空間にマッピングすることで分離を可能にします。
  • 決定木: データを条件に基づいて分岐させることで、クラスを予測するアルゴリズムです。視覚的に理解しやすいツリー構造を持ち、解釈しやすいのが特徴です。
  • ランダムフォレスト: 複数の決定木を使って、より安定した予測を行うアンサンブル学習の手法です。各木が予測を行い、その結果の多数決で最終的なクラスを決定します。

分類の応用例

分類は、多くの実世界の問題に適用されており、以下のような応用例があります。

医療診断

医療診断では、患者のデータを使って病気の有無を判断する分類問題が一般的です。例えば、X線画像から「肺炎の有無」を分類するAIモデルは、分類アルゴリズムを使用して、画像が「正常」か「異常」かを予測します。

顧客分類

マーケティングにおいて、顧客データを基にして顧客を「潜在顧客」「既存顧客」「休眠顧客」などに分類することがあります。これにより、異なるマーケティング戦略を展開し、効果的なアプローチが可能になります。

回帰とは?

数値の予測

回帰は、データから連続的な数値を予測する問題です。回帰問題では、モデルが入力データに基づいて数値的な結果を予測します。例えば、住宅価格の予測や株価の予測などが回帰問題の典型例です。

回帰アルゴリズム

回帰問題でも、さまざまなアルゴリズムが使用されますが、代表的なものをいくつか紹介します。

  • 線形回帰: 最も基本的な回帰アルゴリズムで、直線を用いてデータの関係性をモデル化します。予測値は入力データと係数の線形結合として表現されます。
  • リッジ回帰: 線形回帰に正則化項を加え、過学習を防ぐ手法です。モデルの複雑さを制御することで、より一般化された予測が可能になります。
  • ラッソ回帰: リッジ回帰と似ていますが、異なる正則化項を使用します。不要な特徴量をゼロにすることで、特徴量選択を自動的に行うことができます。
  • サポートベクターマシン(SVM): 分類と同様に回帰にも使用でき、入力データを線形にまたは非線形にマッピングして予測を行います。特に、非線形なデータの回帰問題で強力な手法です。

回帰の応用例

回帰も、多くの実世界の問題に適用されています。いくつかの例を見てみましょう。

住宅価格予測

住宅価格予測は、回帰問題の代表的な応用例です。モデルは、住宅の特徴(面積、部屋数、立地など)を入力として、それに基づいて価格を予測します。この予測値は、住宅購入や投資判断に利用されます。

売上予測

企業の売上予測も回帰問題の一例です。過去の売上データや市場のトレンドなどを基に、将来の売上を予測します。これにより、在庫管理やマーケティング戦略の策定に役立てることができます。

分類と回帰の違い

予測結果の違い

分類と回帰の主な違いは、予測結果の形式にあります。分類はデータをカテゴリに分けるのに対し、回帰は連続的な数値を予測します。例えば、ある顧客が製品を購入するかどうかを予測する場合は分類問題ですが、その顧客が購入する金額を予測する場合は回帰問題になります。

モデルの評価方法

分類と回帰では、モデルの評価方法にも違いがあります。分類モデルは、正解率、F1スコア、ROC曲線などの指標で評価されます。一方、回帰モデルは、平均二乗誤差(MSE)、決定係数(R²)、平均絶対誤差(MAE)などの指標で評価されます。これらの指標を使って、モデルがどれだけ正確に予測を行っているかを測定します。

応用領域の違い

分類と回帰は、それぞれ異なる応用領域で使用されます。分類は、医療診断、スパムフィルタリング、画像認識などの分野で広く使われています。一方、回帰は、金融予測、経済分析、需給予測などの数値予測が必要な分野で活用されています。

分類と回帰の未来と展望

分類と回帰は、AIや機械学習の中で最も基本的かつ重要なタスクの一つであり、今後も進化し続ける分野です。特に、ディープラーニングの進展により、より複雑な分類と回帰の問題に対するモデルが開発され、実世界のさまざまな課題に対応できるようになってきています。

また、ハイブリッドモデルやアンサンブル学習などの新しい手法が登場することで、分類と回帰の精度と汎用性がさらに向上すると期待されています。これにより、AIはより多様なデータセットに対して高精度な予測を行うことができ、さまざまな業界での応用が進むでしょう。

次回

分類と回帰についての理解を深めたところで、次回はモデルが学習データに適合しすぎる問題である**過学習(オーバーフィッティング)

**について詳しく解説します。過学習は、モデルの汎用性を損なう大きな課題であり、その原因と対策について一緒に学んでいきましょう。

まとめ

今回は、AIにおける予測問題の二大カテゴリである分類回帰について詳しく学びました。分類はデータをカテゴリに分ける手法であり、回帰は連続的な数値を予測する手法です。これらの違いとそれぞれの応用について理解することで、AIモデルの選択と設計に役立つ知識を得ることができました。次回は、過学習についてさらに深く掘り下げていきますので、どうぞお楽しみに!


注釈

  • 二値分類: データを二つのカテゴリに分ける分類問題。例えば、スパムメールフィルタリングでの「スパム」か「スパムでないか」の分類。
  • 多クラス分類: データを三つ以上のカテゴリに分ける分類問題。例えば、手書き数字の認識で「0」から「9」のいずれかに分類する。
  • 線形回帰: 直線を用いてデータの関係性をモデル化する基本的な回帰アルゴリズム。予測値は入力データと係数の線形結合として表現される。
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